こんにちは!きなこんぐです。
最高にいい本だったので、感想をネタバレなしで語っていきます!
私は青山美智子さんの本を読むのは、この本で2作目ですが完全にファンになりました!
この記事はこんな人におすすめ!
- 「赤と青とエスキース」を読もうか迷っている人
- 心温まる小説が読みたい人
- 実際に読んで他の人の感想を知りたい人
- 青山美智子さんの小説が好きな人
- この本を読んでどんな気持ちになるか知りたい人
しかもこの本は、本をあまり読まない人でも読みやすい「連作短編」です!
それでは早速語っていきます(笑)
この本のあらすじ
※ネタバレなしなので、かんたんにしかあらすじは紹介しません!
この本は題名にもはいっているように1枚の「エスキース」を中心に、5つの愛の物語が短編で描かれています。
そもそもエスキースってなに?
まず皆さんそう思いますよね(笑)
エスキースとは…「下絵」のことで、本番を書く前に本番とは違う紙や板に、構図とか構想を練るために書くデッサンのことです。
「下書き」と混合しやすいですが、全く違います!「下書き」は本番を書く紙や板に書くし、すでにどう描こうか構想ができたうえで書くので、「下絵」とは異なります。
物語の構成
プロローグ
【一章】金魚とカワセミ ――「恋人」への愛
【二章】東京タワーとアーツ・センター ――「推し」への愛
【三章】トマトジュースとバタフライピー ――「弟子」への愛
【四章】赤鬼と青鬼 ――「元彼」への愛
エピローグ ――「???」への愛
単行本の帯の文章より
目次からもわかるように、いろいろな形の愛の物語がそれぞれで描かれています。
愛ってすごくあいまいで、説明が難しいものじゃないですよね。それを5つの視点からそれぞれの愛の在り方を、物語でみせてくれるので、面白い&学びになる!
それぞれの物語に必ず「エスキース」がでてきます。
その「エスキース」が物語の立派な脇役になっていて、話の中で目立ちすぎないけど、ちゃんと影響力のある存在になっていて面白いです(笑)
それぞれの物語のあらすじは目次の「〇〇への愛」という説明書きで察してください!あまり細かく説明しすぎるともったいない気がするので。
本の感想
読み終わった感想は、控えめに言って最高でした!
物語の内容がよかったのはいうまでもないですが、私的に「ここよかった!」と思うポイントをご紹介します!
この本のよかったポイントは…
- 文体や言葉選びがほんとうにきれい
- 短編にみえて最後まで読むと驚く仕掛けがされてる
- 赤と青の対比でうまく語り手と相手がわかるようになっている
- 芸術への見方(価値観)が変わる気づきが得られた
- 自分が大事にしたい人や自分を大切に想ってくれている人について考えさせられる
1|文体や言葉選びがほんとうにきれい
これは青山美智子さんの表現力のすごさですね!
読んでいて「なんて詩的でロマンティックなんだろう…」と惚れ惚れするような言葉や文章が、物語の中にちりばめられています。
たとえば…
ふたりであんなにいろんなことを話したのに、ただ目をあわせているだけの私たちは今までで1番饒舌だった。
「赤と青とエスキース」より
言葉選びが違うだけで、「目をあわせる」というだけの行為がとてもロマンチックで素敵なものに思えます。
この1文で、読んだ読者によって「二人はきっと…」とそれぞれで想像が膨らみますよね。
著者はそういう想像をうまくかきたてる表現力がすごいんです。わたしはそれの虜になりました(笑)
2|短編にみえて最後まで読むと驚く仕掛けがされてる
これが「二度読み必至!」の理由です!
読んでいる途中までは、語り手も対象の相手もそれぞれの話で違うので
「普通に短編だな…」
そう思って読んでいましたが、5つ目の物語の最後の一文で「えっ!!!」と考えをひっくり返されます!
たった1文で「そこつながるの!?」と気づかされ、しかも最後のエピローグでは「そこもかい!」とどんどん物語の仕掛けの種明かしをされていきました。
ほんとうに最高で、最後のほうは一気に読み終わりましたし、面白くてニヤニヤしながら読んじゃってました(笑)
映画やドラマなんかでも、思いもよらない展開だとすごく面白いですよね!
この本は急展開はないですが、無意識に読んでいたところを読み直さずにはいられない種明かしがあって、二度読みせずにはいられません。
ネタバレしたいですが、我慢します(笑)
3|赤と青の対比でうまく語り手と相手がわかるようになっている
題名の「赤と青とエスキース」ですが、物語にでてくる「エスキースという題名の絵画」は赤と青だけで描かれています。
それなら「赤と青とエスキース」じゃなくて「赤と青のエスキース」じゃない?
そう始めは思ったのですが、目次からもわかるように赤と青の生き物や物体、飲み物などがそれぞれの物語の題名になっています。
【一章】金魚
【二章】東京タワー
【三章】トマトジュース
【四章】赤鬼
そして赤は物語の語り手、青はその語り手の愛を向ける相手を象徴するモノや生き物になってます!
つまり題名の「赤と青とエスキース」の「赤と青」は絵画の色を指しているのではなく、物語の主人公たちを指しているのだということがわかります。
題名までも考え抜かれているのか!と気づいたときはほんとうに感動しました!
わたしの勝手な自己解釈の可能性もありますが(笑)
4|芸術への見方(価値観)が変わる気づきが得られた
美術館で絵画やアートをみて皆さん何を考えていますか?わたしは…
この作品の作者は何を伝えたいんだろう…
と、その作品がもつ意味を読み取ろうとしていました。
しかし実際はよくわからなくて「芸術って難しいし、よくわからない…」と理解すらあきらめていました。
けれどもこの本を読んで、芸術の見方を自分は間違えていたんだと気づきました!
この気づきを得られたのは、わたしの中で大きくて、これが読書の醍醐味だなとおもいます。
この気づきのおかげで、今後芸術に触れるときに「わからない」「理解できない」でシャットアウトせずに、みることができます。
わたしはたまたまこの気づきを得ましたが、読む人それぞれで受け取り方や気づきのポイントが違うのも読書です!
なのでぜひ自分自身で読んで、それぞれに気づきを得てほしいです。
5|自分が大事にしたい人や自分を大切に想ってくれている人について考えさせられる
この本の帯には次のように書いてありました。
この本を読み終わったとき最初に思い浮かんだ人を、どうか大切にしてください―――。
「赤と青とエスキース」の帯の文章より
愛を題材にしているので、5つの物語のうち1番共感できるものから、自分自身が愛を築いている人を想うことができます!
やはり青山美智子さんの小説は、読者に優しく問いかけるような気づかせてくれるような作品ばかりです。
作品を通して自分自身を振り返ったり、いまあるものに感謝できたりするので、ほんとうにおすすめです。
まとめ
この本は内容もいいですが、本のカバーもきれいでかっこいいので買うなら単行本がおすすめです!
青山美智子さんの本はこの本以外も共通して、温かみのある表紙が多いので私は必ず単行本買いしてます(笑)
ほんとうにおすすめの一冊なのでぜひ読んでみてください!
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